59歳男性は2年前もともと抱えていた頚椎ヘルニアの悪化に悩まされていた。
首が痛くて寝返りができずよく眠れない。
パソコン入力が辛くて仕事が遅くなってしまう。
手の痺れもあり、お札の数も数えられないほどだった。
最初に痛みを感じるようになったのはその5〜6年前。
近くの整形外科病院に行くと首の骨と骨の間でクッションの役割をする軟骨がはみ出して神経を圧迫する、「頚椎椎間板ヘルニア」と診断された。
頚椎を引っ張っる牽引治療を受けた所、約1年で痛みがなくなったが、半年ほどしてまた痛み出した。
それから投薬治療を受けたが痛みはひどくなる一方。
医師からは手術を勧められたが躊躇した。
知り合いに首の手術をした方がいて、いずれも3〜4ヶ月間仕事を休む必要があったからだ。
そんなに長く休むことはできないと医師に相談した所、和歌山県立医科大学病院整形外科講師の南出先生を紹介された。
同大学は内視鏡を遣った脊椎手術を数多く手がけている。
この方法だと首の皮膚を切る幅が2センチ弱ですみ、首の筋肉や靭帯などを傷つけない為、手術後の首の動きに制限がなくなる。
カメラなどの光学機器の進歩とともに内視鏡手術の技術が向上したことで手術件数は増えている。
和歌山県立医科大学病院関連病院をふくめると内視鏡を使った脊椎手術が年間約1000件に上るという。
59歳男性の場合、脊髄から枝分かれした神経の根元(神経根)が原因で痛みやしびれが生じており、骨を削って神経を後方へ逃がす方法で手術を行うことにした。
首後方から直径約1.6センチの円筒を入れ、圧迫している部分を内視鏡で間近で確認しながら手術を進め、
約1時間半で終わった。翌日からリハビリを始め、入院期間は1週間程度。
一ヵ月後には仕事に復帰した。
手術を終えて直ぐに痛みがなくなりました。入院期間が短くて本当に助かりました。
すべての症例で脊椎内視鏡手術が行えるわけではないが、できるだけ患者さんの負担が少ない治療ができればと話す。
内視鏡を使った脊椎手術については日本整形外科学会のホームページで技術認定医がいる病院を確認できる。